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原安宏『文脈で学ぶ 漢文句形とキーワード』(Z会)

 漢文の推薦書をひとつだけ挙げて欲しいと言われたら、必ずこれを挙げるという一冊です。『文脈で学ぶ 漢文句形とキーワード』(Z会

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 基本的な句形もちろん、頻出の字、慣用表現まで網羅しており、これだけおさえれば十分という内容です。通読するのはもちろんですが、分からないことが出てきたときにリファレンスとして活用すつこともおすすめです。

 

 漢文の学習という言うと、句形を覚えればそれでOK、というだけで終わってしまう人が多いのが現状でしょう。しかし、それではなかなか点が取れるようになりません。句形はあくまでよく出る形、熟語のようなものであって、やはり文章を読む中で、あの句形がベースになってこういう形になっているんだな……などと気づきながら学習していくことは不可欠です。また、漢文においても、よく出る字や語についてきちんと知っていなければなりません。本書では「くせ者の単語」「多訓多意語」など、差のつくところではありけれど、あまり手がまわっていないところに手が届く内容となっています。

 

 また、第3章のジャンル別読解では、漢文でよく扱われる題材、漢文でよくある展開や表現を扱ってくれています。古文では古文常識が重要なことは言うまでもありませんが、漢文でも漢文常識のようなものがあり、これが分かれ目となることは多くあります。一冊仕上げれば、きっと漢文への苦手意識は無くなっているはずです。

 

 具体的にはどんな使い方をすればよいのか、一例を示しておきます。

 

①項目ごとに説明を通読

➁例文を音読

③赤シートで例文訳を隠し、訳が出てくるかどうか確認

④トレーニングを音読

⑤トレーニングを音読しながらある程度訳が思い浮かんでくる状態を目指す

この流れを何度か繰り返してみて欲しいと思います。

 

 また、一つコツというか、漢文学習をする際の心得をお伝えしておきたいと思います。たとえば頻出の字に「与」があります。これはさまざまな意味を持っています。「あたフ」と読んだり、「くみス」と読んだりしますが、それぞれ意味が異なります。現代の日本語では、この字を使って「贈与」「与党」「関与」などの熟語があって、このことを意識すると、それぞれの意味を理解しやすく、また覚えやすくなるでしょう。実は、現代日本語における語彙力や漢字の知識と、漢文の学習は無関係ではなく、むしろ密接に関わっていると言えます。このことを意識しながら漢文に向かうだけでも、あなたの国語力は大きく変わるはずです。そして、本書はこのことを意識して書かれた優れた参考書です。