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美味しいもの、美容、ファッションときどき古典。

二宮 加美、岩名 紀彦『日々古文常識-入試問題を解くための27のテーマ』(駿台文庫)

 古文学習において大切な要素としては、

①古文文法

➁古文単語

③古文常識

文学史

⑤読解のコツ、読解への慣れ

 の5つをいつも挙げています。①と➁は多くの受験生が意識して学んでいるのですが、③古文常識は疎かにされがちです。しかしながら、古文を学ぶことの意義のひとつとして、古文の世界の文化や常識を知り、我々との距離を自覚することで、私たちの世界が相対化されるということもあるわけで、そのように考えるならば、古文常識を学ぶことは非常に重要です。にもかかわらず、後回しにされてしまうわけです。受験勉強の効率というのを度外視するのであれば、上記の①~⑤はそれぞれがばらばらに存在するわけではなく、文章にあたりながら、それぞれの要素をきちんとおさえていくことが理想的なわけですが、時間のない受験生……そうも言っていられないという事情があるでしょう。そんな受験生、いや古文に興味があって学びたいというすべての方におすすめしたい古文常識本の決定版が本書です。

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 まず、薄くてとっつきやすいです。すぐに通読できてしまいます。しかしながら、中身は本当に濃くて、古文を読むうえで必要なことがぎゅっと詰まっています。ところどころの練習問題も非常にいいものが集められています。ただ、最初は問題はやらないでも、とにかく読み進めて、何度か通読することをおすすめします。そして、他の問題集や教科書で出会ったものを、本書で調べてみる。これを繰り返していくことで、読解と古文常識がリンクしていくことでしょう。そして、初見の文章であっても、「あのことか!」とピンとくることが多くなるはずです。

 

 文法もある程度頭に入れた、単語も結構覚えている……にもかかわらず、変な想像をしておかしな読み間違えをしてしまう。こんな人がたくさんいます。その原因の多くは、古文常識であったり、文学史であったり、背景知識が不足していることが原因です。本書をものにすれば、上記のような悩みから解放されることでしょう。それだけではなく、きっと古文を読むことが楽しくなるはずです。古文を好きになるはずです。そもそも、書き手のお二人が、古文を愛しているのだと私は思います。そんな愛が伝わってくる本なのです。著者近影のお写真からも、本文の記述からもそれが伝わってきます。本当に好きな人が、心を込めて、苦手な受験生のために書き上げた本書は、きっと多くの受験生、古文嫌いを救ってくれる本になっていくのではないでしょうか。

 

 本書が刊行され、手に取ったときの感動、こういう本が書いてみたかったという悔しい気持ち、著者の先生にお会いしていつか直接お伝えしたいと思います。