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山下幸穂『基礎からのジャンプアップノート 古文読解・演習ドリル』(旺文社)

 古文の読解に関する参考書で、これという一冊を挙げるのはなかなか難しいことです。まず、読解に関するコツを紹介してくれている類の本がいくつかあるのですが、そもそもそのコツが怪しげなものであったりしますし、有益なものであったとしても演習量が少なく、十分なトレーニングができないという場合も多いです。コツの類というのは、練習を積み、自分のものにしていかなければなりません。優れた指導者が一緒に取り組んでくれるのならいいのでしょうが、自分一人での学習では、参考書でコツを知っても、別の初見の文章で、そのコツを自ら実践できるようになるまでには、かなりの距離があるのです。そこで、お勧めしたいのが本書、山下幸穂『基礎からのジャンプアップノート 古文読解・演習ドリル』(旺文社)です。

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 非常にシンプルかつ、実践的な読解のポイントを示してくれていますし、演習の量も十分です。解説もコンパクトではありますが、丁寧でよくまとまっています。文法説明も要所に掲載してくれており、読解と文法をうまくつないでくれる説明となっています。また、背景知識に関するコラムがありまして、これが有益です。単純に読んでいて面白い内容でもあります。掲載されている文章はいずれも頻出のものばかりで、学ぶことが多いものばかりですから、ひとつひとつの演習から得るものも非常に多い一冊です。そんなに厚くはない本書ですが、内容はぎゅっと詰まっています。ただし、解説や問題のレベルは低くないですし、単調でもあるので、ある程度、古文文法や単語の学習が進んでいる人が手を出すべき一冊だとは思いますが、古文の読解がなかなか上達しないと悩んでいる人にとっても、起爆剤になってくれる一冊ではないかと思います。

 

 予備校や塾に通われている方であれば、習っている講師の方によっては、癖のある古文へのアプローチをする授業が展開されているかもしれません。それぞれのアプローチが、その先生が長年の経験や研究から編み出した、それぞれに有益なものだろうと思います。本書は癖の無い内容となっていますから、普段どんな授業を受けている方にとっても有益なはずです。「辞書を引こう」というコーナーや、「あらすじをまとめる」コーナーがあり、こういった地に足の着いた作業を丁寧にひとつひとつの文章に対してやっていく。とても真摯な問題集だと思います。まじめに取り組めば、きっと古文を読む力が向上するはずです。