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能面庵的 能・狂言入門-その1

 能とか狂言って聞いたことはあるけれど、「ところで何なの?」「歌舞伎とは何が違うの?」「どこで観れるの?」「高いの?」「眠くるなるよね?」……などなど、私が能が好きだと発言した際に、このような質問をよく投げかけられてきました。これは仕方のないことだなと思います。現代の我々にとって、能・狂言を身近に感じられることの方が珍しいというのが現状です。やっぱり敷居が高いと思う人が多いのです。言葉の壁もありますし、古典についての知識が無いと楽しめない部分も実際ありますし。

 

 しかし、それってすごくもったいない……と思い続けてきました。だから、何か能や狂言の魅力を伝えることがしたいと思っていましたが、うまく能・狂言について伝える自信もないし……とも思い続けてきました。そこで、まずは難しいこと、専門的なことは抜きにして、能・狂言についてざっくり知ってもらうためにあれこれ発信(ゆっくり、じっくり、マイペースで!)していこうと決めました。

 

そもそも、能・狂言って何なの?

 学校の授業で習ったことのある人が多いと思うのですが、あのお面(能面)を被って、歌って舞う劇のことです。歌って舞うので、ミュージカル(これ言うと怒られるかな?)風なものを想像して頂きたいと思います。その歴史は古く、ルーツは、八世紀に中国から渡来した「散楽(さんがく)」にあると言われています。 それが、いろんな紆余曲折を経て、「能・狂言」と呼ばれる総合演劇として現代にも残っているわけです。だいたい現代にも残る形で大成したのが室町時代のことです。ちなみに歌舞伎については、江戸時代なので、年月にすると200~300年ほど時間差があることになります。このあたりの歴史の話は長くなるので、別の機会にするとして、能をざっくり一言で言うと、すごく古い歌って舞う劇!ということになります。

 

能についてとりあえずこれだけは知っておきたいこと

 能の特徴と言えば、やはり能面を被って演じるということでしょう。この能面がまた奥が深いのです。この能面を被るのはほとんがシテ(主人公)であり、能はシテがとにかく中心の演劇です。美しい衣装、能面、音楽、謡、すべてがシテを際立たせるための要素と言っても過言ではないかもしれません。このシテに対して、脇役たちをワキと呼びます。それと、能の登場人物は「死んだ人」「人間ではないもの」が多いということも知っておきたいです。神や精霊、生霊やもののけ、この世に未練のある死者などなどが登場してきます。

 

狂言についてとりあえずこれだけは知っておきたいこと

 さっき能は、「死んだ人」が多いと言いましたが狂言の主人公は主に「生きている人」という点が能との大きな違いの一つです。そして、面を被らず素顔で登場することが多いです。面を被るのは、鬼であったり精霊役の場合で、この面は狂言面と呼ばれます。そして、狂言は基本的にはセリフ中心の喜劇であり、笑えるお話が多いです。

 

 ざっくりと能と狂言の特徴をまとめてみました。で、歌舞伎と何が違うの?と気になった人もいるかと思いますが、そもそも成立が大きく異なっています。このあたりのお話は「その2」でお話出来ればと思っています。というわけで、「能面庵的 能・狂言入門-その1」は以上とさせて頂きます。「その2」では、より詳しい能・狂言の成立に関するお話、歌舞伎との成立の違いなどについてお話出来ればと思っています。また、演劇としての能・狂言だけではなくて、テキストとしての面白さや、語学的な資料としての価値、『風姿花伝』の芸術論としての凄み……などなども採取的には伝えていけるように、そこまで書き続けて行きたいなと思っています。