K

美味しいもの、美容、ファッションときどき古典。

授業・講義を設計するための覚書

 年間何コマの講座なのか、人数は何人なのかなど、前提が違えば考えることも違うと思いますが、どんな授業・講義であっても意識したい/していることを書き出してみます。自分のためのメモとして。

 

【目的・目標の明確化】
・その日の課題、どんな背景があるのか
・誰に、どのように感じてもらって、どのように行動してもらいたいのか
※必ずしもその授業による学習自体が目的である必要はなく、その授業での学習機会をきっかけとして授業外での学びが広がる・深化することもある


【受講者の解像度を上げる】
・学年や志望校、レベルや現状持っている背景知識などの周辺情報を明確にする
→対象のレベルや前提知識がばらけているほど、授業の難易度が上がる
(レベルや志望校によって分かれ、成績でスクリーニングされ細分化された授業が最も取り組みやすく、ざっくりと集められた集団やオンラインで不特定多数に向けて発信する場合が最も難しい)

・阻害要因や、隠れた期待はないか

→参加者全体の空気。やる気のないことが露骨に周りに伝わるレベルのメンバーがいると、場全体の学びを妨げかねない……など。
→受講者が講義内容や講師に不満を持っている場合には、変えるべきは受講者側ではなく講師や授業そのものの方かもしれないという意識は持っておきたい。相性もある。クラスの変更や授業の変更も視野に入れた方がお互いのため。


【目標・学習到達度の設定】
・スタート地点の基準どのレベルにするのか
→どれくらいの人数・規模なのかによってが場の雰囲気がつくられる。レベルや意識にばらつきがある集団を相手にする場合には、マジョリティに合わせるのがまずは基本。
→できる人や物足りなさを感じている人がいれば個別の対応を行ったり、授業内で少しだけそういう層が満足できる工夫や仕組みを盛り込む。できない人は、その場では先に進むが、プロセスの中で救済できる仕組みは考えておく。ただしすべての人を満足させて救うのは、規模が大きくなるほど難しく、ほぼ無理。
・残りの授業回数は何回か、彼らの実践の機会は何回(どれほどか)を常に意識する

→古典に割ける勉強時間には限りがある。その中で、最大限の効果を出すためにどうするべきか。カリキュラムを無駄なく設定する。一方で大切なことは何度でも繰り返す。そして授業外でどれだけ練習できる人たちなのかということへの意識は常に必要。
・各回の授業において、何を強化して、どの水準に引き上げるか
→1回の授業・講義でのメッセージはせいぜい3つまでが限界という印象。4つ以上になると、容量を超えて忘れやすくなり、何も記憶に残らない、あるいは授業後に何をすればよいのか見失う可能性が高くなる。
→目標までの距離がまだまだある場合には、授業や講義の回数そのものを増やすか、最終の到達レベルを引き下げることも検討しなければならない。授業を進めながらコントロールしていくべきだし、常に意識して考える。目標からの逆算が常にうまくいくとも限らないので、微調整が重要。


【メインコンテンツの検討】
・演習を盛り込む
→できれば演習を盛り込みたい。能動的な体験のほうが記憶に残りやすく、実践の経験を積まなければできるようにならない。本番に近い緊張感のようなものも意識したい。

・フィードバックのメッセージと方法を常に意識する
→一方的に知識を伝えるだけでなく、こちらから受講者にフィードバックをしてあげる機会が重要。どうフィードバックするかは演出が重要になる。どんな流れで、どのタイミングで、どうフィードバックするのか。ほめることも必要だが、時には辛辣なことを言うことも必要。うまく使い分ける。そして、次につながるフィードバックを意識する。
→一度のフィードバックで理解できないことも多い。階層的に螺旋階段のように何度も行う。トライアンドエラーをさせるイメージ。何度も何度も、自分で考えるように促す。そのヒントを度々与え続ける。
→質問ある人とざっくり聞くのもありだが、かならず質問を3書け、3つしか質問に答えないので、3つ考えよという指示をだしてみるのもよい。質問を考えるときに、自分でいろいろ整理することになる。そしてそれへの回答がフィードバックとなる。
→受講者のレベルが高度であれば、ポイントだけ説明し、あとは質問に答えるだけでいいというケースもあるが、そんなことは稀。


【一番の山場までのガイドを決める】
・関心を引くような要素を導入に据える
→基本的に人は他人の話を聞かないと思ってのぞむ。自分の受験勉強なのにどこか他人事のようであったりする。また、嫌いな科目や苦手科目であれば、そもそも聞く姿勢ができていない。自分事と感じさせて、知りたいと思わせる工夫は必要。
→基本の型は「問いかけ」である。そして、その後の講義で「問いかけ」の謎解きをしていく。興味を持てそうなものや、現状を伝えることで、やる気まではいかなくとも、「聞こうかな」という思える姿勢を作る。これは植物を育てる際の土壌づくり。土壌がきちんとしていないと栄養もいきわたらない。
→復習・振り返りの基準点になるものを記述させておくと便利。たとえば授業内で疑問に感じたことをノートとは別にメモしろとか、今日の自分の目標を明文化しておけなど。あとから最初のメモを見てください、今日の講義はどうでしたか?など最後に確認してみるとよい。

・一番のポイントにつながる飛び石を置いていく
→途中途中にその授業の山場・メインポイントに繋がる伏線を貼っておく。例題を考えさせるなど、メインの課題を乗り越える準備を少しずつ小出しにしておく。そういう補助が必要なく、いきなり出来るのであれば、その人にはその授業は簡単ということになる。
→時間枠で集中力のコントロールをしていく。慣れていない人の集中力は、講義で20分、議論で30分しか続かないとも言われる。このことを意識して、合間に小さい区切れ目をいくつか設けておく。雑談を挟み込むのもこの意識から。ただし、雑談が主役になってはいけない。


【授業の場をリードするが、主役は受講者】
・緊張と弛緩で集中度をコントロールする
→緊張をほぐしてあげることは必要。いきなり指名するのではなく、何段階か踏んであげたり、ヒントを出したり、選択肢を示したり。
→引き締めることも必要。いきなり指名する、全員に注目させる、競わせる、制限時間によるプレッシャーなどなど。

・自分で気づくサポートをする。
→先にすべてを教えても理解することはできない。自分で答えを出して、比較してみて初めてそこからその人の理解がはじまる。
→そのためには、まず「自分で困る」という過程が必要不可欠。そのことによって、自分は何が分かっていないのか、どこまでわかっていてどこからわからないのか、何がわかれば次に進めるのかを自分で考えていけるようになる。そこまで辛抱強くサポートする。
→受講者が独力で気づきを得られるのであれば、講師は次のステージ・ステップを示し続けるだけで役割はほぼ終わり